土地や家を買うとき、通常は不動産業者から、あるいは不動産会社を介して購入します。
この場合、不動産業者は売主として、また仲介人としての責任を負うことになります。
ところが、競売では一般的には買受けにあたっての不動産業者は介在しません。
敢えて言えば、裁判所がこれに替わる立場ともいえますが、先に述べた取引上の責任については非常に心もとないのです。
裁判所には物件の説明書として物件明細書・現地調査報告書・不動産報告書が備えられていますが、不動産業者が取引時に説明する重要事項説明書に比べると、さほど詳しく書かれているわけではないのです。これは所有者(債務者)の協力が得られないことが多く、無理という実情もあります。
競売不動産の購入(入札)に際しても、これら以外の資料はないので記載されている項目の一つ一つについて、自分で理解しなければなりません。
なかでも問題となるのは明け渡しに関することです。
けれどもこの件について、裁判所の資料には明確な記載がない場合があり、また、接道関係などについても裁判所の資料のみで判断できないことも多いのです。
必要に応じて各官公署に出向き調査することも必要になります。
正直、相当な勉強と手間が必要です。但し、全て一人で行った場合です。
だから、自分一人で抱え込まずに、物件の法的問題や明け渡しについての問題など、それらの事に明るい専門家や法律家(弁護士)への依頼、不動産業者などに事前相談を行うのが得策といえます。
要所をしっかり押さえておけば、競売は危ないものではありません。
事前相談などに要するわずかな費用を惜しんで、大怪我をしたのでは何にもなりません。
転ばぬ先の杖というか、蛇の道は蛇というか。餅は餅屋なのです。